「組合(監理団体)を変更したい」
技能実習生を受け入れている企業の中には、加入している組合を変更したい要望する企業は少なからずあります。その理由には「担当者と合わない」という小さなものから重大な事故に繋がる可能性があるものまで様々です。
今回の記事では、組合(監理団体)を変更すると決意した社長の実話をご紹介していきます。
技能実習生受け入れの際にはよく見られる失敗談ですので、これから技能実習生を受け入れたいと考えている企業担当者様はぜひご一読下さい。
縫製会社の社長の初めてのベトナム技能実習生受け入れ
とある縫製会社の社長は人材不足から初めて技能実習生を受け入れることを決意しました。
監理団体は知人からの紹介です。組合への加入費を支払い、担当者と打ち合わせも済ませ、不慣れながらも手続きを終わらせ、欲しい人材の条件をまとめた求人票を出しました。
しばらく経ったあと、組合からベトナムに希望条件に合致する対象者を集めたので面接に来て欲しいと言われ、ベトナムへと飛び立ちます。
ベトナムまで行ったのに良い人がいない
ベトナムへと渡った縫製会社の社長は、面接に来たベトナム人達を見て愕然とします。
「(良い人が全然いない)」
さすがに即戦力とは言えないまでも、「育てればなんとかなる」そんな伸びしろも感じないベトナム人ばかり。技能実習生とは言っても費用は日本で正社員を雇うよりもお金がかかります。
「(さすがにこの中から選ぶのは無理だ)」
社長は、担当者に今回選ぶのは難しいことを伝え、採用を見送りました。
ただ、社長としても人材に余裕がないのも事実。
次回の旅費も負担するからもう一度、面接準備してほしいと依頼しました。
そして、一か月後面接準備が整えられ、再度現地に向かうことに。
ですが、前回よりさらに酷い状況になるとは社長は思いもしませんでした。
紹介された人材のレベルの低さに再度困惑
今回の現地面接は、組合(監理団体)の理事長が同行。
社長は、集められたベトナム人を慎重に面接していったが前回と同様「雇用したい」「育てたい」と思える人材がいない。それどころか問題を起こしそうな素行不良を起こしそうな雰囲気すら感じていました。
「これはちょっと……」
社長だけでなく、同行した組合の理事長も苦言を呈するレベル。
だが、理事長は「どうしてもここで選んで欲しい」と一点張り。
よく聞くと組合にとっても、今回現地人を集めた送出機関とは初めての付き合いになるとのことで何とかしたいというものであった。つまり、送り出し機関は組合のことをよく知らないし、逆もまた然りというわけだった。
組合の圧力に負け技能実習生二人を採用したが、悪い予感は的中
知人からの紹介ということもあり、強く出られない社長は理事長の「どうしても」の言葉で仕方なくベトナム人女性二人を採用することに決めた。
送り出し機関では採用が決まると日本語教育が約半年ほど行われます。
そして、入国後は技能実習に入る一か月前に組合(監理団体)により研修が行われるが、講師や行政書士の先生方から技能実習生の評価を求めたところトンデモナイ答えが返ってきたのです。
「日本語レベルもさることながら、素行、態度の面で今までの技能実習生で一番悪い」
不安とショックが社長を襲います。
本当に受け入れて良かったのか、トラブルの元になるのではないか。そんな考えが堂々巡りを続けます。
そんな不安とは関係なく時間は過ぎ、受け入れ当日。
当初の不安の割りには二人とも、仕事はそこそここなしてくれた。もちろん、高いレベルではありません。最低限をこなしているといった印象。
それでも、全く仕事をしないどころか職場に悪影響を与えるのではと考えていた社長はひとまず胸をなでおろします。
「(最悪の事態ではない)」
ですが、安心したのも束の間、やはり悪い予感は当たるものだと社長は思いました。
同棲禁止の寮に彼氏を連れ込む技能実習生
日本での生活能力がない技能実習生に対し、受け入れ企業は責任をもって住居を確保しなければなりません。縫製会社が用意したのは「寮」でした。
ですが、ある日いつの間にか寮に技能実習生が彼氏を作って一緒に住まわせていることが発覚しました。寮は一人暮らし用で同棲など認められるはずもありません。
社長自ら何度本人に注意勧告をしても、本人プライベートに関与される筋合いはないとなしのつぶて。聞く耳を持ちません。
業を煮やした社長は、監理団体に直訴。相談した結果、組合(監理団体)職員も技能実習生に同棲をやめるよう話したものの何度言っても効果はありませんでした。
ただ、信じられないのが監理団体職員は「もう、どうしようもない」と匙を投げてしまったのです。
面接の時に感じた悪い予感は、的中してしまったわけです。
雇用したくない人材を選ばせ責任をとろうともしない組合
社長は何度も技能実習生候補者たちを見て、実習に対する真摯な姿勢のなさ、傾聴出来ない雰囲気、どことなく感じる態度の悪さなどを指摘していました。
それでも理事長はこの中から選んで欲しいと圧力をかけたのです。
「2度も面接したにもかかわらず、良い人材がいないので違う送出し機関で面接を実施してほしい」
そうお願いもしていました。だが、理事長の首が縦に振られることは遂にありませんでした。
「なぜ、そこまでその送出し機関にこだわったのか?」
組合と送り出し機関にどういう裏があるのかは未だ分かりません。
ただ、どういう理由があったにせよ、初めての技能実習は社長にとって、とても残念なものになってしまいました。
「組合が変更できるならば今すぐにでもしたい」
そう社長は語ってくれました。
組合を選びを失敗した時点で技能実習生受け入れは失敗する
今回のお話における組合の真意は分かりません。
ですが実は、例えばベトナム人の場合、組合(監理団体)は特定の条件に達するまで、提携する送り出し機関を3つまでしか選べないという決まりがあります。
その関係上、理事長は送り出し機関の何かしらの圧力に負けたのではないかと考えられます。
つまり、どんなに組合が優秀でもいざ人を選出・教育する送り出し機関が無能であれば、良い人材は絶対に来ないのです。
ただ、組合選びだけでなく提携している送り出し機関を選定するのは素人では不可能と言って過言ではありません。
これから技能実習生を受け入れたい又は今の監理団体から変更したいと考えている方は、送り出し機関にも、組合にも精通したプロに組合を選定してもらうことをおすすめします。