農業従事者の数は年々減少しており、特に若年層の割合はかなり低くなってきています。人手不足が続き、我が国の一次産業存続の危機を迎えつつある中、外国人労働者に大いに期待が寄せられています。
今回の記事では、2019年4月に開始された外国人労働者の新たな在留資格である特定技能についてご紹介致します。
また、繁忙期だけ派遣をしてもらえる特定技能を持つ外国人派遣についても分かりやすくお伝えさせていただきますので、ぜひご一読ください。
農業分野で行われている外国人雇用制度は?
外国人労働者は、既に農業分野では貴重な戦力となっています。
まずは、農業分野において外国人を雇い入れるのにはどのような手段があるのか確認しておきましょう。
外国人技能実習制度
外国人技能実習制度は、国際貢献のために開発途上国の外国人を一定期間受入れて技能を習得させるものです。農業分野では平成12年から開始され多くの外国人技能実習生たちが日本の農業を助けてきました。
技能実習生は、最長5年の在留期間が認められています。最初は日本語もまだたどたどしく、技能もあまりないため、教育の手間はかかりますが、長い目で見て育てていきましょう!
技能実習生は、監理団体と呼ばれる組合などをを通して紹介してもらい、後に雇用契約を行います。
在留資格「特定技能」
2019年4月から始まった新制度「特定技能」は、一定の専門性と日本語能力がある外国人に対して試験結果に応じて付与される在留資格です。
特定技能は、技能実習2号を修了した外国人であれば、無試験で移行することが可能です。
また、技能実習の経験がなくても、技能実習2号に相当する技術試験・日常会話程度の日本能力試験の合格者であれば特定技能1号の在留資格を取得することができます。
農業分野の特定技能外国人の可能業務内容は?
農業分野における作業内容は、耕種農業全般に加え、畜産農業全般です。
特定技能は単純労働目的でも雇用することができるため、実質農業であれば制限はありません。
ここが技能実習制度と大きく違う点で、農業界にとって「特定技能」取得者は大きな戦力になっていくでしょう!
繁忙期にだけ雇える特定技能派遣という形も可能
特定技能では、派遣会社が雇用した特定技能を持つ外国人たちを繁忙期のみ雇入れることが可能です。
収穫時に人手が欲しくても、閑散時には人がいらない農業体系も多いですよね。
忙しい時期だけ雇えるこの形は人手不足に悩む農家にとっては、有益なシステムでしょう。
特定技能1号を持つ外国人を受け入れるには?
特定技能1号を持つ外国人を受け入れる方法は、二つあります。
一つは、特定技能外国人を派遣してくれる企業に登録をして、単発派遣のような形をとるスタイルです。
もう一つは、日本人と同じように雇い入れる方法です。
また、現在いる技能実習生に、特定技能へ移行してもらうことで雇い入れることが可能になります。
もちろん、その場合、賃金は日本人と同等のものを支払う必要があります。
特定技能1号に移行した技能実習生は監理団体の手を離れます。
しかし、特定技能で外国人を雇用する場合、企業は特定技能資格の外国人を適正に支援する体制を有していることを証明する必要があります。それには外国人労働を実質的に行ったことがある実績やそれの管理に当たった経験のある人材が求められます。これは多くの企業にとってやや難しい条件となります。
そこで、その問題をクリアするのが「登録支援機関」です。企業は「登録支援機関」に支援を全部委託ことで特定技能資格の外国人を直接雇用することができます。
まずは、契約している監理団体に問い合わせてみるのが良いでしょう。
まずは技能実習生から受け入れ
期待の大きい「特定技能」ですが、農業分野では制度の整備などで実質はまだスタートできておらず、今すぐに人材を探している農業者の方は、現実的には技能実習生から雇入れて育てるというのが良いでしょう。
残念ながら制度の性質上、後継者にすることはできませんが、一度雇い入れれば最長5年働くことが可能な貴重な戦力です。
農業従事者の方でも、家族のように技能実習生を受け入れることで成功している報告も上がってきています。
まずは家族を増やすつもりで受け入れ、働いてくれる人を育ててみてはいかがでしょうか?