「技能実習生制度に興味はあるけど、会社の人や自分自身がベトナム人(外国人)と上手く付き合っていけるのか不安」と受け入れ前に心配される方は多いです。
そこで、今回の記事ではベトナム人を受け入れている企業に、ベトナム人と働いていて起きた実話と共に一緒に働くコツをご紹介致します。ベトナム人を技能実習生制度を利用してみようと考えている方はぜひご一読ください。
謝罪に対するベトナム人技能実習生と日本人の感覚の違い
ベトナム人に限らず、外国人と日本人には色々な常識の違いがあります。いわゆるカルチャーギャップというものです。日本人が外国人の考えを理解できないことも多いですが、逆に外国人も日本人の考えを理解できないことも多いです。
今回の記事ではそんな考え方のすれ違いによって起きてしまった話をご紹介していきます。
農業で働くベトナム人技能実習生と社長との間で起きた話
農場を経営するNさんは10年以上外国人技能実習生を受け入れてきました。
外国人雇用においてはスペシャリストとも言えます。
そんなNさんは数年前に起こった「ある事件」を今でも教訓にしているそうです。
ベトナム人技能実習生の吸っていたタバコで車が炎上
ある日、雇入れたベトナム人技能実習生と二人で農場まで車移動中のことでした。
彼は車内では、いつもベトナムでよくあるスタイルの竹筒のたばこを吸っていました。Nさんも愛煙家であることから、たばこを吸うことこと自体を咎めるつもりはありませんでした。
ただ、農作業から帰ってきたNさんは呆然とすることとなります。
なんと、車が燃えていたのです!
原因は、車内に置いていたベトナム人技能実習生のたばこの火の不始末でした。彼本人のスマホ、衣服も燃えてしまっていました。
Nさんもタバコは吸っていましたが、燃え方がひどかったのは明らかに彼の座っていた座席で竹筒のたばこのすぐ近くです。原因がベトナム人技能実習生の竹筒のたばこにあることは明らかでした。
大慌てでNさんは技能実習生受け入れの際に加入していた保険会社に問い合わせました。車は安いものではありません。廃車にして新たに買い替るしかない状態でした。
今回は明らかにベトナム人技能実習生の過失「だろう」と話をし、保険が下りないか問い合わせました。
「火事の場合は、放火などよほど本人の過失がない場合は本人の責任か証明できず保険が適用されませんね」
待っていたのは担当者からの無情な決断でした。
火の出所は彼のたばこ以外考えらません。ただ、そうであると言う明確な証拠もないのです。
結局、車1台の損害は泣く泣くNさんの会社で負担することとなってしまったのです。
監理団体に問い合わせたら「ルールを設定していますか?」との返答
当然、それでは納得できないNさんはベトナム人技能実習生を派遣した監理団体にも相談しました。
やはり保険が適用できないというのは同じ回答でしたが、意外なことを言われたのです。
「そもそもたばこの始末に関するルールを決めてますか?」
一瞬Nさんは「そこまで決めなくてはいけないのか⁉そんなの常識ではないか!」とも感じました。
ただ、改めて考えると重大な事故にも繋がりかねないたばこの始末の仕方を教えていなかったと思い至りました。
例えば、今回は車でしたが、たばこの不始末で寮が火事になることもありえたのです。
車の延焼などでは済まない大事故が起きる可能性もあったと思うとNさんは身を震わせました。
それ以来、Nさんは新たに雇用する外国人に対しても喫煙や場所、火の始末のルールを明文化し、周知徹底させました。
一切謝罪せず帰国したベトナム人技能実習生
今回Nさんは、自分の落ち度も多少あることも知り、保険での補償が下りないのは、仕方なく承服しました。
ただ、気持ちは別です。
証拠はないにせよ状況から見てベトナム人技能実習生が火事の元となったのは明らかです。本人もそれは分かっているでしょう。
ただ、火事の直後に現場で彼に火の不始末について問いただしても、一切認めず自分ではないと頑なに否定したのです。
彼の技能実習期間は残り3か月ありましたが、結局、出火当日から帰国の日まで彼から一切の謝罪もありませんでした。
「最後帰国の前には謝ってくれるだろう・・・」そんなことも考えていましたが、最後までその思いは届くことはなかったのです。
ベトナム人技能実習生が謝らなかったのはベトナム人の常識だった
同じような状況で火事を起こしたのならば、平謝りしてできる限りの弁償をするのが『常識』だとNさんは思っていました。
しかし、それが『「日本人」の常識だった』と知りNさんはハッとします。
ある時、ベトナム人の常識を学んだ時に愕然としたのです。
ベトナムでは「謝ってしまうとその責任を認めたことになり、その責任を全部負わされることになる」のです。これがベトナムの常識なのです。
日本で軽自動車は数十万~100万円以上です。実習生が車1台分を弁償することは不可能です。
だから、ベトナムでは責任のとれない問題は絶対に謝罪しないのです。
日本では失敗をしたらミスは潔く認めて許しを請い、そこから反省してどう再発させないかを考えます。タバコの不始末だと本人の責任になる可能性もありますが、少なくともNさんは謝罪さえしてもらえば彼に責任を負わせようなどとは考えていませんでした。
「罪を認めて素直に謝罪した人は許そう」そんな日本人の美徳からの行動です。
ただ、そんな想いに反して、ベトナム人技能実習生は責任をとることを恐れ、謝罪をしないまま帰国することとなってしまいました。
完全にお互いの想いがすれ違った後味の悪い話です。
ベトナム人も悪いとは思っているし、仲間意識も強い
ただ、ベトナム人が常識知らずというわけではありません。
農場にいる別のベトナム人は今回の件で何とかみんなで会社に補償しようと、自発的にタイムカードを切ってから延長して働くなど、自分たちにできることをしようとしてくれました。もちろん、日本ではそれは法律違反です。Nさんはそれは断わったものの、仲間を想い、会社に気遣ってくれるそんな気持ちだけでもNさんはうれしかったのです。
ベトナム人たちの行動は、ベトナムという国に起因する常識やできない理由があるかもしれません。
彼らにも生活があり、譲れないものがある、そんなことをNさんは今回の件で思い知らされたのです。
事実、その一件以外、彼は良く働き会社を助けてくれる有能な技能実習生でした。
日本では人手不足が深刻しています。
外国人の手に頼らざるを得ない現実の中、経営者自身が雇入れるベトナム人の事情までしっかり勉強していかなくてはいけないことがたくさんあるとNさんは思ったそうです。
技能実習生と一緒に働くコツは外国人として彼らを見るのではなく、一人の人間としてキチンと見てあげることなのではないでしょうか。
国が変われば考え方も変わる、だからこそサポートを手厚く!
今回はお互いの常識や認識のすれ違いで起きた少し悲しいお話でした。
ただ、お互いの国の相互理解が深まっていればお互い気持ちよく実習を終えることができたのではないかとも考えられます。
そんなお互いの認識のすれ違いをサポートしてくれるのは監理団体の役目とも言えます。
良い監理団体は技能実習生と受入企業との懸け橋になる存在です。ただ、サポートが十分でない組合を選んでしまうと何かあった時に対応もしてくれないこともよくあると聞きます。
そこで、監理団体(組合)を選ぶ前に、いくつかの監理団体を十分見比べて選ぶことが大事です。
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