人手不足の中、技能実習生に活躍してもらっている建設業経営者の方は多いのではないでしょうか?
ところで最近、建設業の技能実習生受入れの基準が追加されたことを知っていますか?
ただでさえ複雑な技能実習生に関するあれこれにまた追加して考えなければならないことが増えてしまったわけです。
そこで今回の記事では、建設業の技能実習生受入れの何がどう変わったのかやさしく解説していきます。
建設業の技能実習生受入れの基準がどう変わったのか知りたい方はご一読下さい。
建設業の技能実習生受け入れで変わったことは?まずは一覧で確認
技能実習生を受け入れる時には、技能実習生計画を外国人技能実習生機構に提出しなければなりません。この機構の認定を受けることで技能実習生を受け入れることができるわけです。
今回追加されたのは、技能実習生計画を認定する際の審査基準についてです。
つまり、追加条件を満たしていないと技能実習生受け入れの申請さえ通らないというわけですね。
具体的には以下の3点になります。
(1)技能実習を行わせる体制の基準
(2)技能実習生の待遇の基準
(3)技能実習生の数
では、この3つの点について、やさしく解説していきます。
建設業で追加審査されること(1)技能実習を行わせる体制の基準
厚生労働省のHPには「技能実習を行わせる体制の基準」にはこのように記載されています。
- 申請者が建設業法第3条の許可を受けていること
- 申請者が建設キャリアアップシステムに登録していること
- 技能実習生を建設キャリアアップシステムに登録すること
……正直専門用語ばかりでよくわからないという人も少なくないのではないでしょうか?
一つ一つ見てきましょう。
技能実習を行わせる体制の基準①申請者が建設業法第3条の許可を受けていること
実は建設業を営んでいる個人又は法人は、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、建設業法第3条の 規定に基づき、建設業の許可を受けなければなりません。
※軽微な建設工事=500万未満の工事又は建築一式工事なら1500万未満の工事又は150平方メートル未満の木造住宅工事のこと。
つまり、個人事業や法人でも住宅専門の業者さんなどは、この建設業法第3条の許可とやらを得てなくても事業に支障がありません。現状、技能実習生を受け入れている個人法人の方の中には建設業の許可を得ていない人は多いのです。
ただ、これから技能実習生を受け入れる上では建設業の許可は必須になってしまったのです。
ちなみにこの建設業の許可には「大臣許可」と「知事許可」の二つの区分があります。
これは、工事現場が県をまたぐ(大臣許可)かまたがない(知事許可)かの違いになります。
なお、技能実習生計画の申請時には建設業許可を得ていることが必要になります。
ですので、技能実習生の受け入れの際にはあらかじめ建設業許可を申請して許可を得ておきましょう。
申請先は都庁、県庁の建設業課や、土木事務所などになります。(地域によって異なります)
非常に書類を整えるのに時間のかかる手続きのため、事務作業が苦手ならば士業の方に委託してしまうのも手です。
技能実習を行わせる体制の基準②建設キャリアアップシステムに双方登録
「申請者が建設キャリアアップシステムに登録していること」
「技能実習生を建設キャリアアップシステムに登録すること」
「建設キャリアアップシステム」とは、技能者の就業履歴と資格情報を蓄積する国が主導で始めた新しいWebシステムの名称です。簡単に言えば、建設業の技術者を適正に評価及び管理するためのシステムというわけですね。
個々人が持つ技能に加え、技術就業時間が不明確になりがちな建設業で、明確に技能実習生たちを含む建設業技能者の働き方の把握と評価をできるようにしたシステムというわけですね。
これから技能実習生を受け入れるにはこの「建設キャリアアップシステム」に登録しており、かつ技能実習生たちも登録させることが義務となったのです。
建設業で追加審査されること(2)技能実習生の待遇の基準
厚生労働省のHPには技能実習生の待遇の基準の内訳はこのように記載されています。
「技能実習生に対し、報酬を安定的に支払うこと」
建設業では、天候によって金額が上下しがちです。
技能実習生の都合ではないにも関わらず、時給制で給料が上下してしまうのは技能実習生たちからすればデメリットになります。
「働いてくれた分だけ払いたい」というのは常識的な考えですが、今後は「月収○○円は保証」といったように月収ベースでの最低額の賃金保証が必要になります。
建設業で追加審査されること(3)技能実習生の数
厚生労働省のHPには技能実習生の数についてこのように記載されています。
「技能実習生の数が常勤職員の総数を超えないこと」
常勤職員の総数とは、つまり正社員の数ということになります。
例えば、正社員が3人しかいない会社ならば、絶対に3人以上の技能実習生を受入れることはできなくなったということです。
他にも具体的な例を見ていきましょう。
(例:正社員3人の会社の場合)
- 1年目:技能実習生を2人受入れ
- 2年目:技能実習生を1人受入れ,1年目の技能実習生は2号技能実習生へ(計3人在籍)
- 3年目:技能実習生を受入れたかったが、正社員数を超えてしまうので許可されなかった(計3人在籍)
従来は毎年3名ずつ受け入れ、3年後には正社員3名に対して技能実習生9名で運用できましたが、今後はそれが出来なくなります。建設業の技能実習生受け入れの際には、正社員の数以上に受け入れができないことを覚えておきましょう。
建設業の技能実習生受入れをするなら親身になってくれる監理団体へ相談
建設業は他の職種よりも技能実習生受け入れまでのハードルが少し高くなりました。
建設業許可もキャリアアップ制度も給与体系の改善も手続きが大変になりました。
なので、まずは建設業の技能実習生制度に詳しい監理団体(協同組合)に相談をするべきです。
ただ、技能実習生業務を行っている監理団体は、対応がピンキリです。長い付き合いですのでコストだけに目を向けず、親身に相談にのってくれる監理団体(協同組合)選びを始めるべきでしょう。
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