農業分野は日々ニュースや雑誌などでも取り上げられるほど、人手不足が深刻化しています。
農家は、高齢になっていくにつれ、農作業が厳しくなっていき廃業になってしまったという事例も珍しくありません。
そんな農業の救世主となった制度が、外国人技能実習生(研修生)制度です。
外国人技能実習生受け入れが上手くいってる日本の農家の中には、技能実習生を家族のように迎え入れている農家の方も多くいらっしゃいます。
では、そんな農業分野での技能実習生雇用はすべてが上手くいっているのでしょうか?
今回の記事では、農業における技能実習生がどのように活用されているのかをご紹介します。また、これから技能実習生を雇用したいと考えている農家のために、優秀な方を探すためのコツをご紹介します。
農業分野での技能実習生(研修生)の受け入れ可能職種・作業は?
農業で技能実習生(研修生)を受け入れるには、耕種農業と畜産農業の2職種6作業に該当しない農家では受け入れることができません。
具体的な作業としては以下になります。
■耕種農業
施設園芸
畑作・野菜
果樹
■畜産農業
養豚
養鶏
酪農
ただ、見ていただければ分かる通り、よほど特殊な形態でない限りは技能実習生を受け入れることができます。
農業の技能実習生受入れは上手くいってる?
「人手不足とはいえ、外国人(技能実習生)を入れるのは不安……」
そう考えている農家さんも多いと思います。
では、実際に技能実習生を受け入れている農家には、なぜ受け入れを決意して、どう役立ているのでしょうか?
外国人に働いてもらわなければ維持できない農業の現実
農業は、大分機械化が進んだとはいえ、まだまだ人手を必要としない段階には達していません。
しかし、日本では農業の人気がなく、求人を出しても人が来てくれないのが現状です。
農業は人手不足により、作物や動物の状態が悪化してしまう可能性が高いです。安易な休業や規模縮小もできません。
すると、どうしても誰かに働いてもらわなくてはならないわけです。
そこに白羽の矢が立ったのが、ほぼ確実に人材を雇用できる外国人技能実習生だったのです。
すでに、農業にとって外国人技能実習生は切っても切れない関係といえます。
平均3年で帰ってしまう農業技能実習生は役に立っている?
技能実習生は、最大5年まで日本にいることが可能ですが、制度上の都合で平均3年で帰国してしまいます。
3年というと、技能に習熟し始めるくらいの時です。
せっかく戦力になりつつある時に帰国してしまう技能実習生が役に立っているのでしょうか?
これが意外にも「技能実習生を高く評価している農家は多い」のです。
農業は、技術修得ももちろん大事ですが、それ以上に単純労働が多い仕事です。
技術を習得したころに帰国してしまうのは、確かに痛手ではあっても農家の評価は高いまま維持されているのです。
3年経過後の農業技能実習生に対し特区を設ける動きも
現在、愛知県・京都府・新潟市では、3年の技能実習を終えて帰国した技能実習生に対し、在留期間を延長する特区を設けています。
つまり、この農業地域で技能実習生を受け入れれば、3年後でいったん帰国しても、再度入国し即戦力として雇用契約ができるようになったのです。雇用形態は、特定機関(派遣会社など)から派遣契約という形になります。
また、技能実習制度のように特定の農家でずっと働くのではなく、農繁期に柔軟に派遣できるようなスタイルも提案されています。
在留資格「特定技能」で永住も可能に?
2019年4月から在留資格特定技能が始まります。
特定技能資格は、技能実習の期限である3年をさらに延長して取得できる在留資格です。
技能実習生の在留資格よりも業務の自由度が高いため、さらに農業にとっては有用な在留資格となっています。
さらに特定技能資格では、特定技能2号という在留資格試験に合格することで、家族の帯同が許可され、永住資格を手に入れることも視野に入れることが可能になります。
技能実習生制度は「数年間の研修兼手伝い」から「一生の従業員候補」まで考えられるようになったのです。
優秀な技能実習生を受け入れるには監理団体選びが肝
技能実習生は、監理団体から紹介される形でやってきます。
監理団体に申し込めば、技能実習生が派遣されるまで、それほど時間はかかりません。
ただ、技能実習生ならば、誰でも良いというわけではありません。
彼ら彼女らにも日本人と同じく人格があります。
優秀な技能実習生を見極めるには、現地の面接で実際に接することが一番です。
ただ、最初は言葉の壁があるため、人材選びを全力でサポートしてくれる監理団体選びが必須となります。
何でも相談に乗ってくれ、解決してくれるそんな親切で有能な監理団体を選ぶことが、技能実習生雇用の明暗を分けるといっていいでしょう。
優秀な農業技能実習生と出会うためには制度への理解も大切
技能実習生制度は非常に複雑で難解です。
すべてを自分だけで理解するのには膨大な時間がかかります。
ですが、すべて監理団体任せですと、「何が分からないかが分からない」状態になり得ます。
技能実習生を受け入れる際には、監理団体へ丸投げではなく、制度自体や技能実習生への理解を深めることが重要になります。
そのためにもまずは、質問すればしっかりと答えてくれる監理団体選びが肝になります。
ただ、監理団体選びは一朝一夕では難しいです。
まずは農業・技能実習生・監理団体に詳しいプロに相談してみるのが良いでしょう。