技能実習や特定技能などで滞在している外国人就労者の状況に変化が生じていることもあり、国民年金または厚生年金の脱退一時金の支給上限月数の見直しが行われ、令和3年4月から現行の36カ月(3年)から60カ月(5年)に引き上げられます。そこで今回は技能実習生、特定技能人材の年金制度について見ていきましょう。是非ご一読ください。
技能実習生も年金制度に加入しないといけないの?
年金への加入と保険料の納付は国民年金法で定められている義務になります。
また障害や死亡などのリスクに備え必要な時に給付を受けることができる制度になっています。先進国の社会保障制度と同様に加入する必要があり、日本に住む外国人についても免除はなく厚生年金保険の適用事業所で就労している方は厚生年金保険に加入し、それ以外は国民年金に加入となります。
ただし外国人の不利益とならないよう「社会保障協定」と「脱退一時金」の制度があります。
社会保障協定とは?
社会保障協定とは、両国の社会保障制度において、
・「保険料の二重負担」を防止するために加入するべき制度を二国間で調整する(二重加入の防止)
・金受給資格を確保するために、両国の年金制度への加入期間を通算することにより、年金受給のために必要とされる加入期間の要件を満たしやすくする(年金加入期間の通算)
上記2点を目的として締結される2国間協定になります。
2021年1月27日時点における、社会保障協定の発効状況は以下のとおりです。日本は23ヶ国と協定を署名済で、うち20ヶ国は発効済みです。
(注)英国、韓国、イタリア(未発効)及び中国との協定については、「保険料の二重負担防止」のみとなります。
協定が発行済の国
ドイツ・アメリカ・カナダ・チェコ・ブラジル・インド・スロバキア・英国・ベルギー・オーストラリア・スペイン・スイス・ルクセンブルク・中国・韓国・フランス・オランダ・アイルランド・ハンガリー・フィリピン
署名済み未発効の国
イタリア(2009年2月署名)
スウェーデン(2019年4月署名)
フィンランド(2019年9月署名)
これらの国の出身の場合国ごとに協定内容を確認する必要があります。
社会保障協定国出身者の場合
国によって「年金を支払った期間の通算が可能なのか」「二重支払い防止の対象範囲はどこまでになるか(年金、健康保険、労災保険、雇用保険)」が異なってきます。
原則として、赴任期間が当初から「5年以内」と見込まれる場合は自国の社会保障加入を継続し、日本の制度には加入しません。また赴任期間が当初から「5年以上」と最初から見込まれる場合は、日本の制度に加入します。
もし仮に日本と本国とで保険料の2重支払いをしていた場合については日本の制度で払い戻しを受けられる権利は2年で消滅してしまうので特に注意が必要です。
脱退一時金制度とは?
上記で紹介した「社会保障協定国」出身の場合は、年金期間と給付を自国の年金制度と合算することができますが、「社会保障協定国」以外の国出身の場合はどうなるのでしょうか?そこでもう一つの制度「脱退一時金」についてご紹介します。
脱退一時金制度とは?
日本国籍を有しない者が、国民年金又は厚生年金保険の被保険者資格を喪失し、日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に申請できる返却金のことです。
「脱退一時金」を受け取るための条件とは?
・日本国籍を持っていないこと
・厚生年金または国民年金の加入期間が6ヵ月以上あること
・申請時に日本に住所がないこと
・障害年金などの年金を受ける権利を持っていない、かつて持たなかった者であること。
上記4つの条件を満たしている者が申請対象になります。
※脱退一時金制度に関しては、企業側に一時金が返金されることはありません。
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